色々ながん治療

一般的な標準治療として、外科手術、放射線治療、化学療法の『三大療法』と呼ばれるものがあります。 そして現在、『第四のがん治療』として期待を集めているのが、免疫細胞療法です。 がんに対する免疫細胞療法は、ここ10年で飛躍的にその認知度も高まり、がん治療の一翼を担うまでになってきました。 がんとの共存=長期不安の状態の維持、高いQOL(生活の質)などが、がん医療の現場、特に患者さん方から強く求められるようになってきています。 そして、そのために必要不可欠なものが、事故の免疫系を活用した治療です。 新薬の多くにもこの免疫系の働きを利用したものが多く登場しています。  

色々ながん治療

日本における免疫細胞の培養、加工の技術は、世界的にみてもトップレベルです。 さらに言えば、臨床応用の経験も例を見ないほど多いのが現状です。 現在、免疫細胞の培養・加工は、注目を集めるiPS細胞に代表される再生医療と同様に次世代の先端的事業として、厚生労働省が進める第三種再生医療等に踏まれるものです。 腫瘍免疫学の進歩は、日々めざましいものがあり、研究室での成果をいち早く臨床の現場に届けることが私たちの使命の一つとなっています。 新薬の候補が見つかり、治療を経て標準治療の新薬としてがん患者さんの手元に届くのに、平均して20年以上の歳月と莫大な費用がかかります。 免疫細胞療法が近い将来健康保険適用になるまでには高いハードルを超えなくてはならないと言わざるを得ません。 安全性が高く、高度な細胞加工技術を維持し、効果が認められる治療をリーズナブルな治療費で提供し、患者さんの経済的負担を少しでも軽減する努力と健康保険の適用をめざす取り組みをわたしたちは行なっていきます。  

第四のがん治療からがん治療の中核へ

我々の体内では、健康な人でも常にがん細胞が発生していると考えられています。しかし、がん細胞を攻撃する免疫※1細胞も存在しているため、すぐにはがんにはなりません。様々な理由でがん細胞と免疫細胞のバランスが崩れ、がん細胞の増殖が上回ったときにがんという病気になります。 そこで、免疫細胞を人為的に増殖させ、その働きを強化することでがん細胞を抑え込もうというのが、がん免疫細胞療法です。 患者さんご自身の血液から免疫細胞を取り出し、数を大量に増やし、攻撃する働きを強化して患者さんの体に戻します。つまり、“自分で治ろうとする力”を活用するという方法です。 患者さんご自身の細胞を用いるため、副作用はほとんどありません。まれに発熱やアレルギー症状がみられる程度で、生活の質(Quality of Life : QOL)を維持しながら治療を受けることができます。 抗がん剤や放射線療法との併用で相乗効果が期待でき、さらに臨床試験にもとづいたデータでは、手術後の再発予防効果が示されているエビデンスのある治療法です。 また、免疫力強化という点で、発がん予防としての期待も高まります。 ※1免疫とは?「自分と違う細菌や異物」を攻撃し、排除しようとする人間の体の防御システム。たとえば、ウイルスや細菌など病気の原因になる微生物(=病原体)が体内に侵入したときも、体は「自分とは違うものが入り込んだ」と判断し、排除しようとします。